慢性腰痛になるのはどうして?今すぐ実践できる腰痛改善のポイント

現代は、腰痛で悩む人は少なくありません。厚生労働省発表の2022年国民生活基礎調査によると、約3割の人が何らかの病気やけがの自覚症状があり、男性の自覚症状で最も多かったのが腰痛でした。女性は1位の肩凝りに次いで2位が腰痛となっており、男女ともに腰痛で悩む人は少なくありません。

では、多くの人が悩む腰痛の原因は何でしょうか。腰痛には、大きく分けると慢性腰痛と急性腰痛の2種類があります。慢性腰痛は、腰の痛みが3か月以上続く状態のことをいいます。急性腰痛は、ぎっくり腰や物を持ち上げたり腰をひねったりした時に突然腰痛が発症し動けなくなる状態のことです。

この記事では、慢性腰痛の原因と改善のポイントについて詳しく解説していきます。

1.慢性腰痛の原因

1-1.姿勢の悪化

猫背や反り腰などの姿勢の悪化は、背骨の動きを悪くし腰痛を引き起こします。猫背の場合、頭は下がり背中が丸まることで、胸の筋肉が縮まります。胸の筋肉が縮まると、背骨が左右にねじったり、後ろに反ったりする動きをしづらくなってしまいます。背骨が動かないと代わりに腰が動きをカバーしようとして無理な動きをしてしまい、腰痛を発症します。

反り腰の場合は、腰の筋肉がぎゅっと縮まった状態が続くことで腰に負荷がかかり、痛みが発症します。また、一見胸が張れて姿勢が良さそうに見える人も、胸を張る代わりに腰を反って良い姿勢を作っている場合があります。そのような姿勢も腰痛を引き起こす原因となるでしょう。

1-2.座りっぱなし

長時間の座りっぱなしは、腰痛を引き起こします。デスクワークやゲーム、運転中などは、長時間座りっぱなしになります。座りっぱなしによりお尻や太ももが圧迫されて血流が滞り、股関節周りの筋肉が硬くなります。股関節の動きが悪くなると、代償動作といって代わりに腰が動いて不安定になり、腰痛発症のリスクが高まります。

1-3.寝具が合っていない

敷布団やマットレスが硬すぎると、腰が浮いて腰痛の原因になります。反対に柔らかすぎてもお尻が沈み込んで腰が曲がり、腰痛になりやすいです。寝具は硬すぎず柔らかすぎないものを選びましょう。

1-4.肥満

肥満は腰痛を引き起こします。肥満によりお腹が出ると反り腰姿勢になりやすいからです。反り腰は腰の筋肉が縮まって硬くなっている状態なので、常に腰に大きな負担がかかっています。

また、肥満になると重い体重を下半身が一生懸命支えることになり、お尻や足が圧迫されて筋肉の緊張状態が続きます。全身の骨格バランスが崩れて腰に負担がかかり、腰痛を発症しやすくなります。

1-5.冷え症

冷え性も腰痛発症の原因の一つです。身体が冷えると血管が収縮し内臓に優先して血液を送り込むため、筋肉に血液が行き渡らず筋肉疲労が起こりやすくなります。筋肉疲労が起こっているときに急に身体を動かすと、腰に負担がかかりやすくなります。

1-6.ストレス

ストレスを受けると呼吸が浅くなり、呼吸するときに使う腹横筋の動きが悪くなります。腹横筋は腰回りについている筋肉で、リラックスしている時ほど呼吸が深くなり動きが良くなります。腹横筋が働いているときは腹圧がしっかりとかかり、コルセットのような働きをしてくれるので腰痛になりづらいといえます。

2.腰痛を改善するためのポイント

2-1.身体を動かす習慣をつける

定期的に運動することで、関節周りの筋肉の動きをスムーズに保つことができます。全身の関節の動きがスムーズにだと、腰に負担がかかりづらくなります。また血流が促進され、体温も上がるため、身体が冷えることによって起こる腰痛の解消も期待できます。週に1〜2回、30分程度体を動かす習慣をつけると良いでしょう。

2-2.座り姿勢に気をつける

仕事中は、集中しすぎて姿勢が悪くなりがちです。デスクワークの人は目線がなるべく上になるよう、デスクトップの角度や椅子の高さを調整することで、猫背による腰痛を防げます。頭を上に引き上げる意識を持って座ると、背筋が伸びて腰痛改善に必要な体幹が養われます。

2-3.重いものを持ち上げる時の姿勢に気をつける

人体の筋肉の7割は、下半身に付いています。そのため重い荷物を持ち上げるときは、下半身を使うと怪我なく効率よく持ち上げられます。逆に手だけで重い荷物を持つと、腰を痛める可能性が高いです。持ち上げる物を体になるべく近づけ、スクワットのように股関節と膝の曲げ伸ばしの動きで持ち上げるよう意識しましょう。

3.ストレッチで腰痛改善

腰痛の人のほとんどが股関節の動きが悪くなっていることが多いため、お尻と脚のストレッチは必須です。股関節の動きが悪くなると、股関節の動きを腰がカバーするようになり負担がかかります。股関節の動きの低下は腰痛発症の大きな原因になるので、こまめにストレッチをして硬くなった筋肉をほぐすことをオススメします。特にデスクワークや車の運転の時間が長く座りっぱなしの人は、なるべく毎日行ってください。

3-1.前もものストレッチ

効果:前ももの張りを解消し、硬くなった腸腰筋がほぐれる

1.横向きに寝て片方の手で同じ側の足首を掴みます。

2.かかとをお尻の方に近づけて少し腰を丸めるようにします。

POINT:前ももが伸びているのを感じればOKです。20〜30秒キープし、左右2〜3回ずつ行いましょう。

3-2.おしりのストレッチ

効果:お尻の外側にある中臀筋がほぐれ、股関節の動きがスムーズに。

1.仰向けに寝て、両膝を曲げます。

2.片方のくるぶしをもう片方の膝の上に乗せます。

3.両手で膝を抱え、胸の方に近づけていきます。

POINT:お尻の外側に気持ちの良い伸びを感じるところまで近づけキープします。20〜30秒キープし、左右2〜3回ずつ行いましょう。

4.腰痛の人がやってはいけないこと

4-1.激しい運動

腰痛を改善しようといきなり激しい運動を始めるのは、腰痛悪化の危険があるので絶対にやめましょう。激しい運動とは負荷の高い運動です。例えば、数年間全く運動をしていなかった人が何時間も走ったり、何十kgもあるバーベルトレーニングを始めるなどです。

身体が動く準備が出来ていない状態で高負荷の運動を行うと、腰痛悪化の原因になります。腰痛がある状態は、錆び付いてしまった機械と同じでメンテナンスが必要です。ストレッチ=身体のメンテナンスと考え、ストレッチで身体を整えて動きやすい状態になってから、徐々に負荷を増やしていきましょう。

10〜15分程度のストレッチやヨガ、姿勢を意識しながらのウォーキングなどがオススメです。

4-2.間違った筋トレ

腰痛改善のために運動をし始めてよく起こるのが、間違った筋トレによる腰痛悪化です。例えば、スクワットをする際に腰が反っていると腰痛を悪化させてしまう可能性があります。筋トレのフォームには怪我をしないための注意点が多くあるので、確認してから行いましょう。

4-3.過度なストレッチ

ストレッチが効果的だからといって無理に伸ばしたり、やりすぎすると腰痛を悪化させます。早く腰痛を治したいと焦る気持ちはわかりますが、悪化させては意味がありません。

ストレッチ中に痛みを感じたら即中断しましょう。ストレッチの気持ちよさやストレッチ後のすっきりした感覚を大切にすると、ストレッチの効果が存分に発揮されます。

5.まとめ

慢性腰痛を改善するには、姿勢・肥満・睡眠・運動不足など、日々の生活習慣を振り返ることが重要です。人によって改善するのに時間がかかることがありますが、治らないと諦めずできることをコツコツ継続しましょう。日々の意識と行動が快適なカラダを手に入れる第一歩です。